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銀行からの借り入れなどは総量規制の範囲外!

すでに述べましたように、総量規制とは、年収の3分の1以下でしか借り入れができないという規制です。これまでは、借り入れられる限度について、明確な基準がなく、借り手へ貸すか否かの判断が各貸金業者に委ねられていたため、貸出実績を競う各貸金業者は、返済が困難とわかっていてもあえて貸すようなこともあったのですが、今回の改正により、今後はそのようなことはできなくなりました。統計によれば、日本全国で貸金業者の利用者は1170万人おり、そのうちの51%(約600万人)が総量規制に抵触するといわれております。

こういった方々は、今後は少なくとも貸金業者から新たに借り入れすることはできませんので、給料等から返済をするか、それができないようでしたら、なんらかの整理をすることも考えなければならないのです。もっとも、総量規制により制限されるのは、貸金業者からの借り入れですので、貸金業者以外からの借り入れについては、次項に述べるように規制の対象外ですので、その点はご注意ください。このように総量規制は非常に大きな影響を及ぼす規制ですが、規制の範囲外のものも結構ありますので、注意が必要です。以降、順番にお話しします。

①今回の貸金業法で規制されるのはあくまで貸金業者からの借り入れです。ここで貸金業者とは、典型的には、消費者金融や信販会社、クレジットカード会社を指します。銀行、信用金庫などは貸金業者ではないのです。したがって、総量規制を超える場合でも、銀行などから借り入れをすることは法的には問題がないのです。もっとも総量規制を超えている方に銀行などが貸してくれるかはまた別の問題です。

②また、信販会社、クレジットカード会社は貸金業者ですが、クレジットカードでショッピングをする場合には、規制の範囲外です。したがって、キャッシングを利用すると総量規制を超える場合、キャッシングは利用できませんが、ショッピングであれば利用できるのです。この点を利用して、現在も「ショッピング枠の現金化」という形で広く融資が行われておりますが、今後も、当座の資金を工面するために「ショッピング枠の現金化」を利用する方がより一層増える可能性があります。

③その他、住宅ローンや自動車ローンも規制の範囲外です。これらは、生活するうえで重要な資産であり、また通常高額であり、これらを規制対象とするとほとんどの人がほかの借り入れができなくなるからです。

④株式等有価証券を担保とする借り入れ、不動産(自己の居宅を除く)を担保とする借り入れも総量規制の範囲外です。担保があるため、十分返済が見込めるからです。

⑤高額医療費、緊急の医療費についても総量規制とは関わらず認められます。

⑥借り手に有利な借り換え(金利を下げる等)、借入残高を段階的に減少させるための借り換えなども認められます。

⑦専業主婦などの場合には、自分に収入がなくとも配偶者と合わせて年収の3分の1の範囲内であれば借り入れが可能です。ただし、配偶者の同意が必要です。

⑧個人事業主についても、事業計画等を提出したうえで返済能力を超えない範囲で借り入れができます。

⑨法人も総量規制の範囲外です。

このように、意外にたくさんの「総量規制の範囲外」□がありますね。今後は、この「総量規制の範囲外」がどの程度広く利用されるかが注目されます。これらが、総量規制の抜け穴のように広範に利用され、「総量規制の意味がない!」という状態になるのか、逆にほとんど活用されず、ほとんどの借り手が、原則どおり年収の3分の1しか借りられないという状態になるのか、どちらになるのでしょうか。