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「個人再生」と比べたメリット、デメリットと弁護士費用はいくらか?

個人再生と比べたメリットは、借金がすべてなくなるという点です。一切支払わなくてよいのです。個人再生と比べたデメリットは、すでに述べたように一定の職業制限があるという点です。自己破産の場合、手続中、保険外交員、警備員などの仕事には就けないのです。また、原則として、資産を処分しなければならないというデメリットもあります。なお、信用情報機関に登録され、カードが6~7年間使えなくなるという点は同じです。官報に載るという点も同じです。ただ、個人再生の場合には、3回掲載されますが、自己破産の場合には、2回掲載されます。また税金・保険料などは破産によってなくなることはありません。

例えば、所得税、住民税、健康保険料などを滞納している場合、破産したからといって、滞納分がなくなることはありません。これらについては、通常、破産手続とは関係なく、役所の担当者と交渉し、支払える限度で支払っていくことが多いです。また、担保が付いているものについては、破産によって借金が消滅したとしても、担保はそのまま残りますので、担保が付いている資産はいずれにしろ処分されてしまいます。例えば、不動産に抵当権が付いている場合、破産によって、借金は消滅したとしても抵当権はそのまま残りますので、買い手が見つかれば不動産は売られてしまうことになるのです。

弁護士費用については、現在、弁護士会の統一的な報酬基準が撤廃されましたので、基本的には、事務所ごとに報酬額が異なります。もっとも弁護士会の相談センター経由で依頼する場合には、一応の報酬基準は存在するため、おおむねどの弁護士に依頼しても同程度の金額になります。これに対して、ホームページなどを通じて直接弁護士に依頼する場合には、その事務所の報酬基準によって金額が決まっていますので、事前にしっかり確認しておく必要があります。もう一つ、収入が少ない方のために、法テラスという機関が弁護士費用を立て替えてくれる制度があります。この場合には、弁護士費用自体も安くなっております。

もっともこの制度はだれでも利用できるわけではなく、前ページの収入基準を満たす必要がありますので注意が必要です。なお、今述べたことは原則ですので、地域等により異なる場合があります。一般論としては、①法テラス経由で依頼する場合が一番弁護士費用が安く、次に、②ホームページなどを通じて直接弁護士に依頼する場合が安く、③弁護士会の報酬基準で依頼する場合が一番高いという傾向があると思います。②と③については、依頼する事件の内容にもよりますが、現在、弁護士間の競争が激しくなっており、各弁護士が価格を下げており、③よりも②のほうが低くなる傾向があるからです。

借金はなくなるが、こんなデメリットもある

自己破産の免責が得られた時、借金はO円になりますが、いくつかデメリットもあります。一つは、①職業制限といわれるもので、破産手続中、保険外交員や警備員といった一定の職業には就けません。もっとも、こういった職業に就けない期間というのは、破産の申し立てをしてから、免責の決定を得るまでの期間ですので、免責の決定が得られた後は、法律上は問題なくこれらの職業に就くことができます。通常、条文では、「破産手続開始の決定を受け復権せざる者」はこの職業に就けないという形で規定されております。復権せざる者というのは、免責許可の決定が確定していない者という意味です。

なお、職業制限のある職業は次のとおりです。保険外務員、警備員、宅地建物取引業、宅地建物取引主任者、旅行業者、旅行業務取扱主任者、金業者、風俗営業を営もうとする者等。他人のお金に触れる可能性の高い職業については、制限がある可能性が高いと思ってください。なお、株式会社の取締役については、以前は欠格事由でしたが、現在は法律が変わり、欠格事由ではなくなったため、破産手続中であっても取締役でいられることになりました。もっとも、破産開始決定は、民法の委任契約の終了事由であるので、破産開始決定時にいったん取締役を辞任し、その後再び選任の手続を取ることになります。実務上は、同日に辞任登記と選任登記を行ったりします。

では、法律上制限がない職業について、例えば、就業規則で破産が解雇事由となっていたり、就業規則には解雇事由となっていなくとも会社から辞めろと言われたら辞める必要はあるのでしょうか。この点についての回答としては、通常は、辞める必要はありません。破産するということは金銭的に行き詰まったということであって、それだけで会社の業務に影響するものではないですし、確かに就業規則には、解雇事由として「会社の信用を害したとき」などと規定されていることは多いですが、実際にはこういう条項は限定して解釈されますので、破産によって会社の信用が害されたとして解雇が認められるケースは非常にまれだと思われます。

その他のデメリットとしては、②官報に掲載されるという点です。この点も個人再生と同じです。また、③自己破産の場合、借金がO円になるわけですので、自分の資産がある場合には、基本的に処分しなければなりません。資産を残したまま、借金だけチャラにするというのでは債権者は怒りますよね。では、身の回りの生活用品まで処分しなければならないかというと、そうではなく、基本的に、同じ種類の財産ごとに20万円を超えるか否かによって資産を処分すべきか否か決められます。

例えば、預貯金口座を複数所有していたとして、その残高の合計が20万円を超える場合には、その残高は処分しなければなりません。また、生命保険にいくつか加入していたとして、その解約返戻金の合計が20万円を超える場合には、それらの生命保険は解約しなければなりません。また、株式取引をしていたとして、すべての株価を合計した金額が20万円を超える場合にも、それらの株式を処分しなければなりません。自動車も時価20万円を超える場合には、処分する必要があります。したがって、こういった財産は絶対に手放したくないという方は自己破産をすることはできないのです。

自己破産には2種類ある

同時廃止の場合、中立時に、弁護士が裁判官と面談をします。本人は同席する必要はありません。面談の際に、中立書をもとに、弁護士のほうで、本人が破産するに至った経緯を説明し、裁判官のほうで、特段問題がないと判断した場合には、破産手続を開始するという決定を下してくれます。法的にはここから破産が始まります。その後、破産の通知が各債権者に送られ、何か意見がある債権者は回答を出すことになります。

意見がなければ特段回答を出さなくても構いません。そして、2~3か月後に免責審尋期日が開かれ、裁判官から本人に住所変更などについて質問があり、その他問題がなければその期日は終了します。裁判官との面接は時間にして数分です。そして、1週間くらい後に裁判所から免責許可決定書が送られてきて、それで法的に借金はO円になるのです。同時廃止の場合、本人が裁判所等に赴くのは通常1回程度ですみます。

少額管財の場合も、申立時に、弁護士が裁判官と面談をします。その面談で、管財人をつけることが決まった場合、後日、裁判所から管財人が選任され、今度はその管財人と面談をすることになります。この管財人はほかの弁護士がなります。少額管財となるケースですが、申し立ての最初から管財事件として申し立てる場合と、同時廃止と申し立てたものの、裁判所から免責調査の必要性などから、面談時に管財事件に振り分けられる場合の2種類あります。

少額管財となった場合、管財人と面談をして、管財人から提出書類などを命じられた場合には、そういった書類を提出します。そして、債権者集会において、管財人から調査結果について報告があり、特段問題がなければその後免責許可決定書が送られてきて、それで借金はO円となります。場合によっては、調査がまだ終わっていないということで2~3回債権者集会が開かれることもあります。免責許可決定書は下記のようなものです。

借金がなくなる「自己破産」

自己破産とは文字どおり、自分が破産することをいいます。破産の申し立てをして、免責が得られれば、借金はO円になります。借金から逃れたい人にとっては、最も効果的な手段となります。自己破産をするためには、裁判所に申し立てをして、免責の決定を得ることが条件となります。通常、裁判所に最低1回は足を運ぶ必要があります。では、借金がいくらであれば自己破産できるのでしょうか。この点は、厳密な基準はありません。要は支払いが不能かどうかによるのです。無職無収入ということでしたら借金が数十万円でも自己破産が認められることもあるでしょうし、1000万円以上の収入がある場合には負債が数百万円あっても支払い不能ではないと判断されることもあるでしょう。

一つの目安として考えられているのは、毎月の借金の返済に充てられるのは、毎月の給料から住居費(家賃等)を引いた金額の3分の1程度であるという考え方です。そして、この金額×36回(3年間)で計算した金額を超えるような場合には返済不能と判断してもよいとされております。例えば、毎月の給料が30万円、家賃が9万円とすると、30万円-9万円=21万円となります。その3分の1は7万円ですから、毎月7万円は返済に充てられると考えます。

そして、その36回ですから、7万円×36回=252万円となり、借金がこの金額以上であれば自己破産が可能となり、この金額以下であれば自己破産は困難と判断される可能性が高いということになります。もっともこの基準はあくまで目安ですので、計算で出た金額が252万円であっても、例えば親の介護などで出費が多く、252万円も返済できないと判断されることもありえます。なお、36回という回数ですが、通常の人は3年間であれば返済に耐えられるであろうという考えによります。次のような方は自己破産を選択されることをお勧めします。

①無職無収入で返済が全くできない方
②収入はあるがアルバイト収入のみで家賃・食費などを支払うと何も残らない方
③安定収入はあるが投資で大損して1000万円以上の負債が残っている方

自己破産には、①手間暇があまりかからない簡単な破産と、②多少複雑な破産の2種類があります。①の破産を「同時廃止」といい、②の破産を「少額管財」といいます。①の場合には、申立後、裁判所のみが免責調査を行い、最低1回、裁判官が破産者と面接を行ったうえで(免責審尋期日といいます)、免責の決定を下す流れになります。時間的には、早ければ申し立ての2~3か月後には免責許可の決定が下されます。

②の場合には、中立後、裁判所が管財人を選任し、その管財人が免責調査を行い、その結果を踏まえて、裁判所に報告し、そのうえで裁判所が免責許可の決定を下す流れになります。時間的には、早くても申立後半年くらいはかかります。両者の違いを一覧表の形にすると以下のようになります。どういう場合に同時廃止になり、どういう場合に少額管財になるかという点ですが、おおむね次のような場合には、少額管財となります。

①20万円以上の資産(預貯金、生命保険解約返戻金、株式、自動車等)がある場合
②免責不許可事由(浪費、詐欺等)が認められ、管財人が裁量免責の調査をする必要がある場合
③負債額が5000万円以上であるとか、債権者が多数にのぼる場合

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